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2012年2月10日 (金)

第17回配本「doll ーアイク×セネリオ短編集ー」

2012年1月8日 コミックシティ大阪にて発行
A5サイズ:コピー 42ページ/300円

もっと短めのお話(ページ数にして6〜7頁くらいの)を4、5本くらい載せるつもりでいたのですが、いざ出来上がってみると14〜15頁の中編2本と、短編の再録という結果となってしまった冬の新刊です。

1本目タイトルは「small world」

アイセネ界では書き尽くされている仔セネの過去話です。
自分でも今までにちょろちょろ書いていたのですが、ちゃんと始めから書いてみよう!
と思ったにも関わらず、相変わらずの断片的なものになってしまったという……

でも足りないところは読んで下さる方の脳内で完璧に補完されると思うので、ま、いっかなー、と。
でも最後の方は、ちょっとはしょりすぎたかなー、とも。

グレイルとセネたんを書くのが好きだなーと、書いてるとき思った。
最後まで「セネリオ」と打たないつもりでいたのに、途中がっかりな打ち間違いを製本後に発見して「ああああああーーー!!!!!」と泣きたくなったうっかりさんな私です。

2本目は「HIDE AND SCREAM」

タイトル直訳すると「隠れて悲鳴を上げる」だったかな??
アイセネ旅立ち後、異大陸へと渡った二人のお話です。
アイクは気付いていないけど、実は心のうちで悲鳴を上げているセネたん、というイメージで書いてみました。

この時点でアイクはいくつくらいなんだろう?? というのは、書いている本人も深く考えていたわけではないので(おい)読んで下さった方のご想像にお任せします。
でもまあ、30代後半〜40始めくらい……なのかな??

あとラストも、ご想像にお任せします。
自分の中ではちゃんと「セネたんはこういう結果を選んだ」というカタチがあるのですが。
BAD ENDにはならなかったですね。
読むのは好きだし書くのも好きだと思うのですが、打っていると自然に手がBAD ENDからは離れていくのです。

セネたんは、自分で思っているより強い子です。そして優しい子だとも思う。

最後に再録の「剣と楓」

アイセネ旅立ちネタです。
過去本「Our Song」と内容被ってますね;
もっと長い話にする予定だったものから使える部分を抜き出したらこんな妙な超短編に……;

でも3本とも、全部別のお話として書いていたのですが、あらためて読んでみると全部繋げて読む事が出来るなあ! とちょっと自画自賛(笑)

冒頭分だけ書きかけのストックの中から引っ張り出してきて無理矢理ENDマークつけた話ばっかりの割には、気に入った1冊となりましたヨ(^^)

というわけで、
2本目から冒頭部を抜粋して続きに載っけておきますねん。

↓ ↓ ↓

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 セネリオがその手記を初めて目にしたのは、ベグニオン帝国の大神殿マナイルにある、壮大な規模の書物庫で退屈しのぎをしていたときだった。

 国を追われたエリンシア女王の護衛にと雇われたものの、後見を願いに訪れたベグニオン帝国で、アイク達傭兵団は足踏みを余儀なくされていた。
 エリンシアが、本当にクリミアの施政者となるにふさわしい人物であるか否か、神使サナキはそれを見極めたのち、彼女をベグニオン貴族達の集うパーティに同席させ、その顔を『クリミア王女』として周知させようと手回しをしてくれていたのだが、そんな上流階級の社交事情など、片田舎の傭兵風情であるアイク達には察せられるはずも無い。
 彼らは、エリンシアが夜ごとの社交界に連れ出される忙しい日々を送る中、実に平穏で退屈な時間をことごとくその身に持て余していたのだ。
 ミストやヨファなどが絢爛豪華な屋敷内の散策にも飽きる頃、セネリオはというと、飽きもせずに書物庫へと通う日々が続いた。
 そんなに楽しい本があるのかと、ミストらも一度は書物庫に足を踏み入れたのだが、哲学書や法学書、歴史に政治に兵法など。とてもじゃないが自分達が楽しめる代物ではないと、彼女らは早々に退散してきたのだ。
(伝記物などもあるんだけどな)
 学術書などの小難しい書物ばかりではないのにと、セネリオは不可解に思ったが、その面白さを伝えたところで彼女らには理解出来ないだろう。
(書庫への立ち入りが許されて良かった)
 おかげで自分だけは退屈な思いをしなくて済むと、セネリオはこの時間を有効に楽しもうと一冊の本を手に取った。

 その本を選んだことに、確たる理由などは無い。ただ背表紙から感じた本の装丁が、なんとなく気に入ったからだった。
(翻訳ものだな)
 セネリオはざっと表紙に目を走らせて、タイトルと著者名の他に翻訳家の氏名の記述があるのを見つけた。
 前書きを読むと、どうやらその本は、他大陸の暗黒魔導士が記したという手記であるらしいことが分かる。
 内容としては、著者である暗黒魔道士が関わった戦争のことや、かつて当人が所属していた宗教集団にまつわることなどが克明に書かれた書物で、実に客観的に淡々と、それが事実であるとの証明のように現実的な文章でもって表現されていたのだった。
 手記と言えば、まるで日記帳のように砕けた文体や内容で語られていることもままあるが、その他大陸の暗黒魔導士とやらは、よほどの公平無私な人物であったのだろうか。それかもしくは、己が書いたこの手記が、遥か何千里も遠く離れた土地にさえも伝えられる、重要な書物となり得ることをすでに予想していたのだろうか。
(それならばよほどの自信家か……自己陶酔の激しい人間か、だな)
 だが記されている文章は実に明瞭明快で、内容の主たる戦争についても、まるで歴史活劇を見ているように面白かった。
 セネリオは興味深くそれに目を通していく中で、とある『秘術』という単語に目が止まった。
 それは今まで、見たことも聞いたことも無い――奇怪な秘術。
 暗黒魔導士だというその著者は、それが禁忌の秘術であると何度も繰り返し記している。著者の言う暗黒魔道とは、自分の知る闇魔法とはまた別の、術そのものが邪悪で陰湿なものなのかもしれないと、セネリオはこのとき理解した。
(生きている人間を……――してしまうなんて)
 そんな魔法が、本当に存在するのだろうかとセネリオは始め訝しんだが、そもそも他大陸の人物の手記だと言うこの書物自体が、真偽のほども怪しいものだ。
(もしかしたら……全てが作り事なのかもしれないな)
 手記と言う名のフィクション――虚構なのかもしれない。それならば活劇のように面白い構成にも頷ける。それに。
(本当にそんな秘術があったとしても、実用する意味などあるのだろうか)
 魔道など、ただ障害を取り除く為の力であればいいだけだ。
 凝った演出など必要ではない。
(あの人が進んでいく道の、障害を排除出来ればそれでいいだけ)
 だから変に奇を衒った魔法など、見せ物の延長でしかない。
 自分には。
(邪魔な敵を……屠れる力さえあれば……それでいい……)
 そう思いながらも、どこか心に引っ掛かるものをセネリオは感じていたのだが。
 やがて己の生い立ちに関わる記述を他の書物の中に見つけ、そんな手記を読んだことも、衝撃のうちに忘れていくのだった。


     †


 そんな手記のことを思い出したのは、アイクと二人旅立ってから幾年が過ぎた頃だっただろう。
 いや。本当は。
 己の血の意味を知ったときからずっと、心の奥底でもやもやとした澱となってセネリオの中には蓄積していたのだ。

 他大陸の、暗黒魔道の、その秘術――。

(本当に、そんな魔法があればいいのに……)
 いつの日か、セネリオはそう願うことを抑え切れなくなっていた。いけない。いけない、と。そんなことを望んではいけないのだと、始めは自分に言い聞かせていたけれど。綺麗事だけでは最早、自分を癒すことなど出来ない。誤摩化すことはもう出来ない。
 その魔法さえあれば、未来に待ち受けている状況は打破されるのかもしれない。
 そう気づいてしまってからは、もう。もう。
(他大陸の、暗黒魔道の、その秘術)
 一度読んだだけだったが、その特徴は全て覚えている。
(本当に……本当にそんな魔法があれば……!)
 そう願っていた。探していた。会得したいと求めていた。
 いつか訪れる、『その日』の前に。
 その魔法さえあれば、憂いは無くなると信じていた。
 何年生きるか分からない、遥か長寿であろう自分と、ただの人間でしかない、彼との空白を埋める為――。
 その魔法さえあれば……。
 そしてそれを解く、特別な魔道の杖さえあれば。
 おそらく……おそらくは……。


     †


「見つけた……」
 一本の魔杖を前にして、セネリオは思わず声に出して喜んだ。
 わなわな、と。ローブから覗く手が震える。
 それはキアの杖と呼ばれる、この世に二つとして存在しない、貴重で特殊な魔道の杖。
 実在するものかどうなのかも疑わしい代物だったが、その杖が放つ独特の波動からは果てしない魔のエネルギーを感じ取ることが出来、偽物ではないことが窺える。
 まさか先に、こちらの方を見つけることになろうとは。
 しかしこれは朗報だった。杖の方があるということは、すなわち秘術の方も存在するというわけで――。

 秘術の名前はとうに調べ上げている。
 人を石化する魔法。

 その名は――ストーンと言うのだった。

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(「HIDE AND SCREAM」より一部抜粋)